百聞は一聴にしかず

Catch The GO'S SOULというHPにあったゴスペラーズの曲紹介を中の人が移設しています。

Real tight

『Reflections』に続き、サウンドはファンク寄りで、SOYSOULが一枚噛んでいるのが如実にわかる。
作家コンビは、作詞が山田ひろし氏、作曲が酒井氏と村上氏である。
山田氏&酒井氏のコンビというと、私としては『Atlas』を思い出すのだが……オトナになったな(笑)
酒井氏が『Slow Luv2』というのもとてもよくわかる。
“男らしさ”とか“男性のプライド”を前面に出したイメージで、
同じ“男性の感性”を表現するにしても村上とは対極的な表現の仕方をする人である。
この曲を最初に聴いた時は思わず膝を叩いた。
そういえば、酒井が作った曲に村上氏が手助けにいく“玉虫色”のパターンも多い。
どうやら酒井氏が袋小路に入っていくパターンというのがあるようだ。
考えすぎるのも良くないかもしれないが、考えないと人間は死んだも同然だから。
そんな堕ちていく酒井氏のことは好きだ、うん。

このこゆ~い歌を演出しているアイテムは複数ある。
歌詞も、曲も、ボーカルも。
ブルージーなメロディが歌い回しをとても難解にしている一方で、
それが効果的にこの曲の奥に流れる感情を表すようになっている。

この曲に限らず、ゴスペラーズの楽曲はどんどん想像力を必要にしているように思う。
さらっと聞き流したとしても悪くはない。
けれど、そうすると“コーラスがステキ”とかそんなことしか残らないであろう。
しかし、しっかり聴き込めば、たとえばこの『Real tight』の持つ、深すぎるまでの情愛などそういうものを意識せざるを得ない。
もちろん聴く人によって経験はさまざまだから具体的なイメージは個人によってバラバラだろうが。
“もうどうしようもない”、“一途”な想いをぐっと4分間に閉じ込めてあるわけであるが、
こういう想いにどこまで聴く人間が入り込んでいけるかというところが、
このアルバム全体のポピュラリティと関係が深いと思う。
だから、どんなにがんばっても中学生ぐらいには厳しいだろう。
音のかっこよさとか、他の音楽では感じられない“違和感”に衝撃を受けたとしても
それだけがこの曲のよさではないし、ゴスペラーズのよさではないから、
それではまだ十分に“理解した”ことにはならないのだろう。
きっと、オトナになったらもっとわかるよ、というしかない。
しかし、若いうちに一度聴いて、それから後々聴き直せば新しい発見があるに違いない。