百聞は一聴にしかず

Catch The GO'S SOULというHPにあったゴスペラーズの曲紹介を中の人が移設しています。

いろは

アルバムのオープニングを飾る、ゴスペラーズの所信表明といってもいい含蓄ソング。
なにげなく聴いていると、ノリのいい、“ABCD~♪”言ってる歌としか捉えられないかもしれないが、
よく聴いて歌詞を眺めてみると、酒井氏のそしてゴスペラーズの信じるところがよくわかる。

歌詞は、キーボードのタイピングになぞらえてある。
しかし、進んでいくうち、“A・B・C・D”という記号の羅列は、
“音”が繋がることによって「ことのは」となり、意味を持つようになるのだと歌うのである。
要するに、ゴスペラーズが行っていること自体は、“音”を発しているのだから、
タイピングをするのと同じことだが、
結果的には「歌う」という、「ことのは」を伝える作業なのだと言っているのだ。
アカペラやハーモニーという言葉が持つもののイメージは、“音”の縦のつながりを重要視しがちだが、
ゴスペラーズは“音”の横のつながりである、言葉を伝えたいのだと
歌っているように私には聞こえるのである。
文字は26文字しかないけれど、繋げていくことで限りなく広がっていくのだと、
ゴスペラーズは歌っているように思う。

「鋭敏な8ビートが美意識のCD」なんていうフレーズは完全な言葉遊びで、
「ABんなABトがBCきのCD」という韻になっているわけですな。
そのそもど頭の「ゑひ(A)もせずあさきゆめみじ(GかZ)」というように、
「ABCの歌」のように、「A」で始まり「Z」で終わる基本形がいくつも出てきたり、
他にもアルファベットと同じ音で韻を踏んであったり、
また、「たちまち指の運びも~♪」のように低音が飛び出してくるかと思えば、
「次はどいつだ♪」で高音が飛び出てくるなど、音遊びも満載。
これは、歌のうまさ以上にアレンジ力の高さも物語るところ。
この辺りが他のアカペラグループと一線を画している所か。
アカペラであることを忘れるほど、身を乗り出してしまうような躍動感がキモチイイ。

最後に出てくるフレーズは、この曲の総まとめ。
“Gun”のためでも“Gang”のためでもなく、
“G”はゴスペラーズのためにあるんだぜ!
“G”を見たらゴスペラーズを思い出せ!!
まるで、文字が言葉に直結したかのような、文字の進化を見るようだ。

このように、なかなか深いこの曲は、
アルバムの中で一番最後に出来た曲らしい。

こんなことを考えてたら、出雲にも行きたくなるわな。
ね、酒井さん?

 
G10投票 23位。